せきぽんさんのレース完走記その2  
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第9回四万十川ウルトラマラソン完走記    2003年10月19日
[葛藤篇]    ある日、「今回が最後の開催になるかも知れない!」といううわさを耳にし、デマかも知れないが、後で後悔することを恐れ、自分の方針(ウルトラ参加は年に一度)を破ることに。
 6月の野辺山の苦戦もまだ覚めやらぬ日、遂に、四万十川の抽選に応募することを決意。抽選の結果、念力で出場権をもぎ取った。四万十川は、ウルトラマラソンの中ではサロマと肩を並べる人気のメジャーな大会、これ完走せずしてウルトラランナーだなんて言えない、と、日に日に心が高ぶってきた。    心が四万十川に向いている最中、一週前に『こどもの国駅伝』が開催されることになっていた。我々チームメンバーは優勝目指して日々特訓を重ね、当日は力以上のものを出した。私も皆の気持ちを無駄にはできないという思いで、自分の持分(4.1km)を全力で走った。結果は惜しくも2位、優勝は逃したが、皆は結果に満足した様子で、走ることへの喜びを深めたと思う。これで、気持ちは一つ、四万十川へ。    
 
[思想篇]    早速、『こどもの国駅伝』の結果を、ある走り仲間の若者にメールで知らせた。すると、順位を競い、努力の成果をレースで発揮したことに対し、祝福してくれた。彼は初マラソンサブ3ランナーで、その後はレースを遠ざかっている様である。今度のつくばで再起を目指している人間である。    彼曰く「タイムを意識しないだらだらマラソンにはまったく興味がありません。なぜならば、その人の努力が感じられないからです。この考え方は間違っているでしょうか。」と。私は、だらだらマラソンというのが何を指して言っているのかわからなかったが、考え方は、その人その人それぞれなので、間違っているとは言えないだろう。レースで結果を出す為に、日々努力する。このことについては、大いに賛同する。しかし、この結果というのが、人それぞれ違っていていいんじゃないかと思う。タイム、完走、出場回数、順位、距離、etc....なんでもokなんじゃないか。若いうちはタイムはレースの度にどんどんのびる、しかし、どんどん歳を重ねていくと、なかなか努力の成果がタイムに現れなくなるものである。    ウルトラマラソンは、スタミナと精神力で勝負が可能であり、基本的に完走に重点が置かれる。参加者に40代、50代が多いのもこのせいだろう。    
 
[調教篇]    今月はランナーズが主催している「オクトーバーラン」という走りこみ月間になっている。私も今年初めて参加エントリーしてみた。なかなかよい企画であり、自分のモチベーションがアップし、練習量が自然に増加している。レース本番は19日、17日までに250km走りこんだ。これは、月間500kmペースだ。レース前にこんなに走りこんだことは無かった。ちなみに9月は310kmぐらいだったと思う。ウルトラデビュー時は、月間100kmがいいところだったと記憶している。自分にとって練習量は十分過ぎるほどである。    今年から始めている、簡易カーボローディングを今回も実施した。これは、月・火・水=麺やご飯などの主食類は禁止、おかず類のみの食事、木・金・土=おかず少な目、麺やご飯類中心の食事、である。但し、ビールはFree。我々夫婦はビール中毒なので、切れると震えが来る。荒川でのサブ3達成は、これがうまくいったせいかも知れない?    
 
[移動篇]    1018日、旅立ちの日がやってきた。最近開通した、港南台駅⇔羽田空港、バス直行便を使って羽田空港へ。荷物が多くても階段の登り降りが無いので、助かる。今回も妻は、応援参加、と言うより旅行気分かも知れん。呑気なかあさん、と言う感じだ。    高知空港へ到着後は、中村市(大会受付会場)へバスで約3時間30分という長旅となった。移動中、お遍路さんがたびたび目に入る、しかも、学生と見られる若者も多い。心の悩みを持っている人が多くなっているのだろうか?    車中で、前回大会のTVドキュメンタリーのビデオを鑑賞することができた。トップのデットヒートは見ごたえがあった。登記登録の部の西村氏と一般の部の岡田氏、結局前々回の雪辱を帰し西村氏の勝利(※今回は岡田氏がまたトップの座を奪取!)。すさまじいというかすばらしいライバル意識である。あきらめない、手抜きしない、という根性は見習うべきだろう。と思いながら、ビデオに見入っていた。    
 
[決戦篇]    遂に、スタートラインに立つ時が来た。前夜も熟睡できた、緊張は無し、練習量にも満足、身体も絞れた、カーボもやった、体調も気持ちもピーク、一点の曇りも無し、ただただ嬉しい限りだ。今回は、「積極的に、タイムを意識したレースをする」こんな気持ちでスタート合図を待った。ちょっと準備に手間取ってしまい、いままでになく後方からのスタートになったが、100kmという長旅、さして影響は無いだろう。ひろみちゃんと同部屋の女性(千葉出身だからチバちゃんとでも言っておこう)と完走を誓って握手をかわし、ゆっくりゆっくりスタートを切った。いつの間にやら、ひろみちゃんとチバちゃんは、前方にいた。なんというすばしっこいやつらだろう、と思いながら、いつぞや後方に消え去っていった。    最初の10kmは、人の壁に逆らわず、ウォーミングアップ気分で、ジョギング、約58分ぐらいかかっただろうか。後から考えるとこれがよかったのかも知れない。このコースは、序盤に高低差600mぐらいの厳しい坂がありその後は、ほぼ平坦なコース。序盤のこの坂の登り下りをうまく乗り切れるかどうかが勝負の分かれ道になる。走ってみて感じたんだが、ひろみちゃんとともに大会前に走った箱根駅伝コース(5区+6区)、これよりは厳しくなかったと思う。この時、「箱根、走っておいてほんとよかったな」と思う。10km過ぎあたりから、徐々にペースを上げていき、後のことは考えず、気持ちよく走れる自分の最高速度で走った。頂上にたどり着き、景色の素晴らしさに感動、大きく息を吸い、空気のおいしさをかみしめ、いざ、下りへ。    例によって下りでは、気持ちよく全力走し、タイム貯金した。坂を降りきったころのエードで、「神奈川のしぇきさぁ〜んだぁ!がんばってぇ〜」と6070ぐらいのおばちゃん3人組が騒いでいた。前日のウェルカムパーティで話し掛けられ、名前とゼッケンを教えておいたおばちゃん達だった。背中をパンパンたたかれ元気付けられた。「俺はお相撲さんじゃねぇ」とおもいつつ、かわいいなと思った。『ごまっとう』?ゲッ#&%$!。人間、疲れてくると思考能力が低下する、ということが証明された。    着替え地点(カヌー館)、応援バスも既に到着しており、妻も待ち構えていた。見知らぬ女性がこちらに愛想を振っていた。この時はなんとなく不気味な女だなと思った。後で関係を聞かされるが。。。    この時、重大なことに気が付いた。野辺山で苦しんだ(途中、トイレで20分も費やした)、便秘だ。同じ失敗を二度繰り返してしまった、自分の愚かさに嘆いた。簡易カーボの失敗?これじゃウン○ローディングじゃねぇか。後半3日間は、ごぼうサラダ等の野菜繊維をいっしょに採らなければだめだ。今後の教訓である。    途中目標のフル地点サブ4、フル地点の標識は無かったが、3時間356分でクリアーできたと思う。時計をのぞきつつ、気分的にも以後のレース運びが楽になるなと、ほくそえんでいた。。。もしかしたら、サブ9も可能だ、などと心の中で調子に乗っていた。    四万十川を何度も横断するコース設定は、ランナーにとって、自然を十分満喫させてくれ、ありがたい。うわさの沈下橋、この足で走ってみて、「川に吸い込まれそう」というぐらい、ちょっと怖い感じがした。この頃までは、景色に感動しつつ走っていたが、75km過ぎぐらいからは余裕がまったくなり、ばたっ!とスピードダウン。サブ10には十分貯金がある、あとは気力との戦いだ。    80km過ぎ、一番辛かった頃、他人からも私の走りは辛そうに見えただろう。30過ぎぐらいのボランティア女性が「がんばってください。私は、出たかったのに抽選に漏れちゃったんだから。私の分までがんばって!」と、伴走してきた。これには、さすがの私もこの場は、見栄でもがんばらにゃいかんな、と思い、「がんばるよ、ありがとね」と言って、ちょっとだけスピードアップ。スピードアップも長続きせず、「離れてくれてよかった」と正直ほっとした。貯金を少しづつ費やしてはしていたものの、サブ10達成は確信していた。    最後の2km、応援のすごさに元気づけられ、自然とスピードアップ、脚の感覚はなくなっていた。目標の「笑顔でのゴール」が達成できた。念願のサブ109時間36分。前回の野辺山でのゴール後の悲壮感は、みじんもなかった。無償にビールが飲みたい、と思った。ボランティアの女子高校生に完走メダルを掛けてもらい、ゴールで待ち構えていた妻に写真を撮ってもらった。やっぱ、この一瞬が忘れられない、だから、またウルトラを走ってしまうんだろう。    途中、不気味と表現してしまった女性の正体が明らかになった。妻と応援バスでいっしょだった、☆野さんだそうである。同じ神奈川在住でだんなのペースがほとんど私一緒ということである。わたしのゴール4分後にその☆野さんがゴールしてきた。この後、帰宅するまで、偶然にもなにかと☆野夫婦とは一緒になる。なんでだろう?    ちょっと休憩した後、応援組の妻と四万十の天然鰻のお店の散策に出かけた。時間が早すぎるせいか、どこも開店前、しかたなく、酒屋で缶ビールを買って、会場に戻った。    ひろみちゃん、20km通過、2時間30分、と、最初に聞かされたとき、「ちょっと、慎重になりすぎてはしないか」と思った。GTMailによると、80kmは通過しており、ひろみちゃんのゴールは、6時半ぐらいと予測していた。トラブルがなければ、完走は間違いないだろう。ゴール間近の選手のゼッケン及び名前の場内放送に耳を傾けながら、帰りを待つ。    すると、予想時間よりもはるかに早くゼッケンと名前が放送された。妻と共に慌ててゴール付近へ駆け寄った。12時間17分、すばらしい追い込みだ。ゴールの笑顔もかわいかった。かたい握手で「おめでとう」と、言ったら、自分が感激していた。なんでだろう?    
 
[回想篇]    その後、しばらくして、巡回バスにのって3人で目当ての四万十の天然鰻を食いにでかけた。ちょっとお洒落な料亭に到着。アルコール苦手のひろみちゃんもビールで乾杯。天然鰻も美味だった。コースの感想やら、いろんな出来事やら、話題はつきない。ウルトラマンは頭が悪い、レース中の辛さが徐々に記憶から消されていくのを感じた。次に参加しようとする大会の話をしていた。彼女はサロマ、私は秋田内陸リゾート、とそれぞれ次ぎの目標を捜していた。    後から聞かされたが、チバちゃんは、残念ながら途中リタイアしたらしい。練習して再チャレンジして欲しいものだ。頭の悪いウルトラマンにしたいから。    どうも、来年も四万十川ウルトラマラソンは開催されそうな雰囲気である。地元TVのインタビューを盗み聞きしていたら、「来年、また参加されますか?」という質問があった。また、東急観光の添乗員の話「来年の開催は無い、といううわさがありますが、たぶん開催されるでしょう。都市の合併で四万十市というのができ、主催が変わることになる。」    次回は10回記念大会。おっと、早まったか?    
 
[完結篇]    いつも見る光景であるが、ウルトラ開催日の翌日は、現地がロボットの街と化す。あちらこちらで、ロボットがぴょこぴょことぎこちなく歩いている。こっけいな光景である。こんな中、我々夫婦は、散歩がてら、近くの野菜市場に、出かけた。珍しい野菜をたんまり買い込んで帰宅の途へ。
 年内、ハーフ→フル→フル→フル、という予定になっている。気分のギアチェンジをはかり、新たな目標を立てようと思う。   − 完 −